ドローンで空撮するとき、「HDRってオンにした方がいいの?」「NDフィルターって本当に効果あるの?」と迷ったことはありませんか?
特に初心者の方や、最近ドローンを購入したばかりという方にとっては、設定項目の多さに戸惑う場面も多いはずです。
実は、HDRとNDフィルターを正しく使うだけで、空撮映像の仕上がりは驚くほど変わります。
しかもそれぞれの役割は異なり、場面によって適切な使い分けが求められるのです。
この記事では、
- HDRとNDフィルターが必要な理由と具体的な改善効果
- HDRを活かす撮影テクニックと注意点
- NDフィルターの濃度別の選び方と活用例
- ドローン空撮に最適なカメラ設定の基本
- 撮影前のチェックリストと初心者向けシナリオ
などについて詳しく解説しています。
ドローンの空撮でHDRとNDフィルターが必要な理由とは?
ドローンを使って美しい風景を撮影しようと思ったとき、最初に直面するのが「光の扱い方」です。
昼間の明るい空と影の濃い地表、日差しの反射や木陰のコントラストなど、地上からの撮影以上に明暗差が大きくなるため、カメラの性能だけでは限界が出てきます。
そこで重要になるのが、HDR(ハイダイナミックレンジ)とNDフィルター(減光フィルター)です。
HDRは「明るすぎる部分」「暗すぎる部分」の情報を同時に記録する機能で、空と地面の色彩をより自然に残すことができます。
一方NDフィルターは、シャッター速度を遅く保ちながら露出を抑える役割があり、滑らかな動きと自然な色を表現できます。

最初は「設定多すぎて無理!」と思いましたが、逆にこの2つだけに集中すれば映像の質は一気に上がりますよ。
この章では、私自身が実感したHDR・NDフィルターの効果と、それぞれの役割について具体的にお話ししていきます。
私が実感した白飛び・黒潰れの改善効果
初めて晴天の河川敷を撮影したとき、地面のディテールが黒く潰れ、雲は白く飛んでしまっていました。
設定を見直す中でHDRをオンにして再撮影してみると、雲の輪郭も川辺の草の色もくっきり残っていて、「これが本来の色か」と驚いたのを覚えています。
白飛びや黒潰れは露出のバランスだけでなく、そもそもの記録方式の違いに起因することも多いです。
HDRを有効にすることで、明暗の階調が広がり、画面全体の情報量が圧倒的に増えると感じました。
映像の色再現が変わるHDRとNDフィルターの役割
HDRが明暗差を調整するのに対し、NDフィルターは光量自体を調整するものです。
たとえば真夏の昼間、何もつけずに撮影するとシャッター速度が速すぎて映像がカクつくことがあります。
ND8やND16などのフィルターを装着すると、シャッター速度を1/60〜1/120程度に保てるため、人の目に近い滑らかな動きになります。
HDRは「階調の守備」、NDフィルターは「動きの制御」といったイメージを持つと、それぞれの役割が明確になります。
- HDR:センサーが明るさの幅を記録する(明暗の差が激しいシーン向け)
- NDフィルター:カメラに入る光を物理的に減らす(晴天や逆光時の滑らかな動きに有効)
どちらも空撮には欠かせないツールですが、単独で使うよりも組み合わせることで、より安定した映像表現が可能になります。
HDRを活かすドローン撮影テクニックと設定の落とし穴
HDRは空撮において非常に便利な機能ですが、万能ではありません。
設定次第では、かえってノイズが出たり、動きのある映像で不自然な表現になることもあります。
この章では、HDRを活かすための具体的な撮影テクニックと、私自身が経験した落とし穴についてご紹介します。
HDRオン・オフによる画質比較と選び方
HDR機能は、静止画よりも動画でその効果がわかりやすく現れます。
特に夕方の逆光シーンなどでは、HDRをオンにすると空と地上の両方がバランスよく映ります。
ただし、常にオンにしていれば良いというわけではなく、快晴の日中など光の差が少ないシーンでは、HDRの恩恵は少ないこともあります。
逆に、余分な処理によって少し“人工的”な色味になることもあり、あえてHDRをオフにして撮るほうが自然なこともあります。



私の場合、建物や山肌のディテールが欲しいときはHDRオン。色味やトーンを自分で調整したいときはオフ、という感じで使い分けています。
明暗差が大きいシーンでのHDR活用場面3選
HDRが最も活きるのは、光の差が極端なシーンです。
具体的には、以下のようなシチュエーションが該当します。
- 夕陽を背にした逆光の人物撮影:人物の顔も空の色も両方を活かせる
- 高所からの俯瞰映像:影と日なたのコントラストが強く出る場面
- 森の中での光の差し込み:木漏れ日と影の情報を両立できる
これらの場面では、HDRの力が最大限に発揮されます。
逆に、HDRをオフにしていたことで「せっかくの景色が台無し」という失敗を私は何度も経験しました。
私が失敗したHDR撮影の注意点(動き・ノイズ)
HDRは複数の露出を合成するため、動きの速い被写体や風で揺れる葉などが入ると、ブレやノイズが出ることがあります。
特に風の強い日にHDRをオンにしたまま撮影したところ、木々の揺れが残像のように映り込み、使い物にならなかったことがありました。
また、処理が重くなる分、バッテリーの減りが早くなったという副作用も感じました。
- 動きが激しい場面ではオフが無難
- 風景撮影など静止性が高い構図で活用
- バッテリー残量を意識して撮影時間を調整
HDRは強力な機能ですが、「いつでも使えばいい」というものではありません。
状況に応じてオン・オフを切り替える柔軟さが求められます。
NDフィルターの選び方とドローン撮影への活用術
NDフィルターは、ドローン撮影の中でも「滑らかさ」や「映画のような質感」を得るために欠かせないアイテムです。
しかし、NDフィルターには種類があり、いつどの濃度を使えば良いのか戸惑う方も多いのではないでしょうか。
ここでは、NDフィルターの濃度ごとの違いや装着方法、実際の使用シーンに合わせた活用法を具体的にご紹介します。
ND4・ND8・ND16の濃度差と使い分けガイド
NDフィルターは、数字が大きくなるほど光を強く遮ることができます。
たとえばND4は少し日差しが強い日、ND8は晴天、ND16は真夏の快晴時など、それぞれに適したタイミングがあります。
この「濃度差」をうまく活かすことで、シャッター速度を1/60〜1/100に安定させることが可能になります。
結果として、映像のブレが軽減され、動きのある被写体でも滑らかでリアルな映像表現が実現できます。



私も最初は「ND8あれば全部いけるでしょ」と思っていましたが、春と夏では太陽光の強さがまるで違い、ND16を持っていなかったことで泣いたことがあります。
NDフィルターの装着手順と風対策の工夫
NDフィルターの取り付けは、飛行前に必ず済ませることが基本です。
飛行中に取り外しや装着をすると、ジンバルやカメラバランスに悪影響が出てしまいます。
また、フィルターの素材や形状によっては風の影響を受けやすくなるため、風速や気温にも注意が必要です。
フィルター装着のミスだけでなく、操作自体にも思わぬ落とし穴があります。
- ジンバルとの接触に注意:過度な力をかけず、丁寧に装着
- 風が強い日はNDの重さに注意:軽量タイプを選ぶのも手
- 事前に画角・露出の確認:撮影前テストでチェック
特に風が強い河川敷や海辺では、フィルター装着で重心がずれることがあるため、実際に試して慣れておくのが安心です。
初心者がやりがちな墜落原因を、こちらの記事で先に確認しておくと安心です。


日差し別に使い分けるNDフィルターの目安表
最後に、日差しの強さに応じてどのNDフィルターを使えばよいか、目安となる表を掲載します。
天候・時間帯 | 推奨NDフィルター |
---|---|
曇り〜薄曇り(午前) | ND4 |
晴れ(午前〜午後) | ND8 |
快晴・夏の日中 | ND16 |
逆光・夕方 | ND8またはND4 |
このように天候や時間帯に応じてNDを使い分けることで、常に理想的なシャッター速度を保ち、プロ仕様の映像品質を実現できます。
ドローン空撮に適した基本のカメラ設定マニュアル
HDRやNDフィルターだけでなく、ドローン撮影ではカメラの基本設定も重要です。
「いつも自動設定に任せている」という方も、ほんの少し手動調整を加えるだけで、空撮映像の完成度が大きく変わります。
この章では、シャッター速度・ISO感度・ホワイトバランス・プリセットなど、空撮において知っておきたい基本設定と活用法をご紹介します。
シャッター速度とISO感度を連動させる理由
映像の滑らかさとノイズの少なさを両立するには、シャッター速度とISO感度のバランスが鍵です。
一般的には、フレームレートの「2倍」がシャッター速度の目安とされ、たとえば30fpsなら1/60秒が理想とされます。
この設定を保つには、NDフィルターを使って光量を調整しつつ、ISOはできる限り100〜400の低感度に抑えるのがポイントです。
高感度にするとノイズが目立ちやすくなるため、シャッター速度を守りつつ、ISOは抑えるという両立が必要になります。



ISOをオートにしていた頃は、薄暗いとすぐ800や1600になってて、画面がザラついて後悔した経験があります…。
色温度とホワイトバランスを現場で調整するコツ
空撮で空の色や建物のトーンを自然に見せるには、ホワイトバランス(WB)の手動設定が効果的です。
自動WBは状況によって色が変わってしまうため、編集時に連続性が損なわれることがあります。
たとえば快晴なら色温度は5500〜6000K前後、夕方なら4000K台、曇りなら6500K前後が自然な色に近づきます。
撮影前に空と地面を同時に映してみて、モニターで不自然さがないかを確認するのがコツです。
- 快晴(昼):5500〜6000K
- 曇り:6500〜7000K
- 夕方・朝焼け:4000〜5000K
WBは「撮る前に必ず一度合わせる」が基本です。
撮影後では直せない部分なので、習慣にしておくと失敗が減ります。
私が現場で使う空撮プリセット3種(昼・夕・夜)
私自身、現場でのセッティング時間を短縮するために、よく使う3パターンのプリセットを用意しています。
以下が、私が実際に使っている設定例です。
シーン | シャッター速度 | ISO | ホワイトバランス |
---|---|---|---|
快晴(昼) | 1/60 | 100 | 5600K |
夕方〜マジックアワー | 1/60 | 200 | 4800K |
夜間(街明かりあり) | 1/30 | 400〜800 | 3500K |
もちろん現場によって微調整は必要ですが、ベースを作っておくことで焦らず対応できます。
ドローンは飛ばす前の設定が8割と心得て、プリセットの整備をおすすめします。
屋外だけでなく、室内での撮影にも挑戦したい方は、騒音対策も忘れずに準備しましょう。
室内での静音操作のコツは、こちらの記事でわかりやすく解説しています。


まとめ:ドローンで美しい映像を撮るための設定チェックリスト
ここまで、HDRやNDフィルター、基本的なカメラ設定について解説してきました。
最後に、実際の撮影前に見直したい設定チェックリストと、初心者が取り組みやすい練習シナリオを紹介します。
どれも私自身が現場で使っている実践ベースの内容です。
撮影前に確認すべき3つのポイント
ドローン撮影の失敗の多くは、「飛ばす前に確認できたはずのこと」で起きます。
最低限、以下の3点は飛行前に必ずチェックしておきましょう。
- NDフィルターは適切な濃度か?(日差しに合ったものを装着)
- HDRのオン/オフはシーンに合っているか?(明暗差のある場面のみオン)
- WB・ISO・シャッター速度のバランスは取れているか?(プリセットでもOK)



私はこれをチェックリストにしてスマホに保存し、現地で確認するクセをつけています。
NDフィルターとHDRの併用例とその結果
晴天の山岳地帯で撮影したとき、ND16とHDRを併用した結果、滑らかで明暗差の自然な映像が撮れました。
空の青さや雲の立体感、山肌の陰影も崩れず、編集の手間も最小限に抑えられました。
逆に、HDRをオフにしてNDだけで撮った別シーンでは、シャドウ部分の色味が浅く、情報量がやや物足りない仕上がりになりました。
- HDRで階調を残しつつ、NDで動きを滑らかに:両者は目的が違うため、補完関係にある
- 必ず飛行前に露出確認:HDRで明るくなりすぎたらNDを1段階上げる
「どちらか片方」ではなく、「両方をうまく使う」ことが、ワンランク上の映像づくりに繋がります。
初心者が最初に練習すべき空撮シナリオ
最後に、私が初心者のころに取り組んで効果があった練習シナリオをご紹介します。
自宅の近くで、次のような流れで試してみてください。
- 午前中の曇りの日にND4+HDRオンで撮影(白飛び・黒潰れをチェック)
- 夕方にND8+HDRオンで地面と空のバランスを見る
- 同じ構図でHDRオフでも撮って、違いを比較する
繰り返すことで、「この場面ではHDRは不要だな」など判断力が身についてきます。
撮り比べこそ、最短の上達法と言っても過言ではありません。
設定に慣れてくると、頭の中に「この天気ならND8+HDRオン」と即断できるようになります。
ぜひ、あなた自身の空撮ルールを見つけてみてください。