筆者プロフィール

山本翔太(やまもと しょうた)。
長野県松本市在住の48歳。
家族は妻、大学1年の長女、高2の長男。

今では『無人航空機操縦士試験』に合格ていますが、長男が「ドローンで運動会を撮りたい」とつぶやくまでは全くドローンのことを知りませんでした。
ですが、長男がドローンに興味を持ち始めてから、親子の挑戦が始まりました。

座右の銘は「親が学ぶ背中こそ最高の教材」。
資格取得も失敗談もすべて、このブログの“実験レポート”として公開中です。
このブログは、子どもの「やってみたい」を見逃したくない親の備忘録です
秋の運動会。
土ぼこりの匂いが残る体育館で、列を外れた10歳の長男が私の腕を引きました。
「空から全部撮れたらいいのに」たったそれだけの願いなのに、私の頭には航空法や費用や安全管理が重なって、返事が詰まりました。
帰宅後、タブレットで検索しては溜息をつき、気づけば夜。
中古トイドローンを3,200円で落札したのは深夜1時過ぎでした。
私は「子どもより先に資格を取る」という遠回りでしか、家族を安心して空へ連れて行けないと腹を括りました。
眠い目をこすりながらオンライン講座を再生。
プロポ(送信機)のスティック操作を解説する講師の声が、真夜中の静けさにやけに大きく響きます。
誰かに教えられるより、自分で転び方を知ったほうが、子どもと同じ景色を語れるんだ。
そう思うと失敗すら貴重に感じました。
私がぶつかった航空法の壁
壁 | やったこと |
---|---|
制度の複雑さ | 申請フォームに緯度経度をコピペするだけで30分。 |
技術への不安 | 感度調整を忘れ、リビングのカーテンに突進。 |
費用の見通し | テキスト代を捻出しようとメルカリで古本を7冊出品。 |
小さな壁が累積すると、挑戦より諦めのほうが楽に感じる。
でも、そのたびに長男の「空を見上げる顔」を思い出し、パソコンを閉じられませんでした。
- バッテリー残量が2分しか持たず、「やっぱり無理かも」と独り言
- 試験料の合計を電卓で見て、財布を握りしめたまま硬直
それでも翌朝、長男に「一緒に飛ばそう」と言えたのは、自分が昨日より1歩進んだと感じられたから。
資格取得の勉強は、点数よりも後ろから子どもの背中を押す力になると、少しずつ実感しました。

初フライトで植木鉢を倒し、妻に叱られた直後、長男が「今度は庭でやろうよ」と笑ってくれたとき、家族全員で失敗を共有する空気が生まれました。
このブログは、そんな小さな進歩と転倒の記録帳です。
読者というより、未来の自分と子どもへ手紙を書く気持ちで綴っています。
だからこそ、華やかな成功より、泥くさい途中経過を赤裸々に残していきたいのです。
かつての私は、夜更けにくすぶる不安で動けない親でした
「親が資格を取ればいいんだよ」そう頭ではわかっても、指先はキーボードの上で固まったまま。
深夜0時43分、松本の静かな住宅街で、私はただ検索結果をスクロールし続けていました。
ドローンスクールの料金表に映る120,000円の数字が、リビングの蛍光灯よりまぶしく感じた瞬間、ブラウザを閉じる音がやけに大きく響きます。
隣では寝落ちした長男の寝息。
「やっぱり無理かもしれない」とその独り言が、秋口の冷えた空気に溶けました。
当時の私は“やらない理由”を集める天才で、挑戦はいつも明日に延長されていたのです。
トイドローンを注文した翌日、段ボールを開けながらも手は震えていました。
「機体の100gって、そもそも重いのか軽いのか」。
そんな初歩で詰まり、航空法の条文に飛んでは用語に窒息。
情報が多い時代ほど、最初の一歩を踏み出すハードルは高くなると痛感した夜でした。
悩み① “資格”という大きすぎるハードル
資格サイトに並ぶカリキュラム表を見て、90分先の講習会場までの交通費を計算したら、ため息が止まらなくなりました。
さらに筆記試験では70点が合格ラインと知り、「理科教師だったくせに」と自虐が増幅。
悩み② 機材にかかるリアルな出費と家計のせめぎ合い
ジンバル付きドローンの価格を調べては、食費と光熱費をメモ帳で減算。
妻に言い出せず、宅配の不在票をポケットに隠したことも一度や二度ではありません。
- 「ドローン資格 最短 独学」→記事が長すぎて15分で離脱
- 「航空法 罰則 初心者」→罰金50万円を見てページを閉じる
ログを読み返すと、クリックのたびに「やめる理由」を探していた自分が透けて見えます。



筆記教材が分厚すぎてめげ、ページを切り取ってコンビニで30枚に小分けコピーしたが、結局ホチキスが足りず深夜に買いに走ったことがあります。
それでも翌朝、食卓で「一緒に空を撮ろう」と呟く声がかすかに出たのは、諦め切れない好奇心がまだ残っていた証拠でした。
このブログに書くのは、そんな逡巡の記録です。
派手な成功談ではなく、ドアノブを回す前の躊躇いこそが、同じ場所で足踏みする誰かの背中をそっと押すのではと信じています。
どうやって一歩ずつ変わったのか
資格取得まで4か月。
結果だけ聞くと早そうですが、実際は毎晩の「5分チャレンジ」が雪だるま式に効いたとしか言えません。
私は完璧な計画より、失敗が許される超短時間の実験を積み重ねることで、停滞を突破しました。
STEP1:再現テスト(風呂場でスティック操作をなぞる)
家族が寝静まる0時過ぎ、湿気が抜けた風呂場でプロポを握りました。
床に貼った養生テープの十字を、指先だけで意識的にトレース。
水気が怖くて電源は切ったまま。
指が覚えない限り、屋外で風に煽られたとき真っ白になると感じたからです。
STEP2:週末の河川敷
理科教師時代のタイムキーパー癖が顔を出し、キッチンタイマーを3個並べました。
屋外での初飛行は8秒でバランスを崩し、河川の葦へ墜落。
モード2の上下左右が頭ではなく身体に落ちた瞬間は、家族が動画を巻き戻して爆笑した夜でした。
- 時間は5分固定:着替えの前や食器を洗う合間でも可能
- テーマは1つ:離陸だけ、ホバリングだけなど絞る
- 失敗を撮影:あとで見返すと笑えるし上達の指標になる
こうして「できた」と「やらかした」を交互に体験すると、不思議と翌日の勉強が楽しみに変わりました。



学科テキストの難解語句は付箋で隠し、空欄になった部分を声に出して埋めるだけで記憶定着率が体感2倍上がりました。
最後の筆記試験では事前模試で68点しか取れず青ざめましたが、本番では86点。
合格通知メールを開くと同時に、長男が「じゃあ次は僕だね」と笑った早朝の静けさが、私の人生のターニングポイントになりました。
大きく変わったわけではありません。
ただ、毎日の「5分」によって止まり続けていた歯車がカチリと動き始めただけ。
それは、想像以上に家族の時間を前に進めてくれたのです。
今、このブログで伝えたいこと


資格を手にした瞬間、私はゴールテープではなく新しいスタートラインに立っていると気づきました。
長男がプロポを握る背後で、私は風速計とにらめっこしながら3回も「いけるか?」と呟いた春の河川敷。
私は、親が自分の弱さごと学ぶ姿を見せることで、子どもの挑戦を“当たり前”にする文化を広げたいのです。
だからこのブログでは、成功率100%の方法より、半径5mで転ぶリアルな失敗談を優先して書きます。
それは「できないかも」と画面を閉じかけた昨日の私に向けた手紙でもあります。
記事を書くときに守っている三段ロケットの約束
理科教師時代に黒板へ三角形を描いて子どもたちに説明した“実験の三要素”を、ブログにもそっくり移植しました。
- 感情:その日の温度、家族の表情、心拍数まで思い出せる範囲で描く
- 理由:「なぜ必要か」「ないとどう困るか」を必ず添える
- 行動:読後24時間以内に試せるタスクを具体的に提示
読者が「自分ごと」に変換できる具体性が欠けると、モニター越しの共感は一瞬で薄れると痛感したからです。
さらに、記事の最後には必ず“私もまだ途中”という一文を残します。
完成形を提示するより、共に進む余白を示すほうが読者の肩の力を抜けると感じています。



大人がミスを認める姿は、子どもにとって最高の「失敗許容量アップ教材」だと思うんです。
だからこそ、合格体験談を書いて終わりではなく、その後のアップデートや次の目標を随時追記していきます。
ブログは講義ではなく、長い自由研究ノート。
あなたがページを閉じるとき「失敗してもいいから、少しだけやってみよう」と独り言をもらせたら、書き手としてこれほど嬉しいことはありません。
最後に、あなたへ


スクロールを止めてくれた今。
あなたは「やってみたい」と「でも怖い」の間で、もしかすると0.5秒ほど逡巡しているかもしれません。
その揺れこそが、挑戦の原料であり、親子で未来を共有するための第一歩だと私は信じています。
私はいまでも、長男に「今日は飛ばす?」と聞かれて3秒黙り込む日があります。
風速アプリの数値が5m/sを示すと、合格証の存在すら頼りなく感じる。
それでも河川敷へ向かう車内で流れるラジオが、少し心拍を落ち着かせてくれるように、あなたの傍にも小さな追い風はきっと吹いています。
変われなくても、準備が整わなくても、今日の自分を受け入れるところからしか、次の景色は見えない。
それが親になって学び直した最大の真理でした。
「まだそのままでいい」と言える理由
私たちは失敗の数だけ語れる物語が増えます。
完璧な成功談より、転倒した後の土埃を払う仕草のほうが、子どもには眩しく映るのだと何度も知らされました。
- 寝る前に5分だけドローン動画を親子で観る
- キッチンタイマーを1分にセットして「資格ガイド」をざっと眺める
- 布団の中で「週末どこで飛ばしたい?」と子どもに問いかけてみる
たったこれだけでも、明朝の会話は1ミリ違う温度になります。



合格証を壁に並べたとき、思ったよりも感動は静かで、代わりに「次は夜景を撮ろうか」と小さく夢が更新される瞬間が訪れました。
焦らず、比べず、笑える失敗を増やしていきましょう。
このブログは、その途中経過をありのまま記し続けるノートです。


さあ、深呼吸をひとつ。
次に空を見上げるとき、ほんの少しだけ首の角度が変わっているかもしれません。